小学校でAIを導入するならどれ?3つのサービスを比較してみた
2026.08.29

「小学校に生成AIを導入するなら、どれがいいの?」
そんな質問を、小学校で教員をしている友人からもらいました。
僕も、「たしかに、どれがいいんだろう?」と思ったんですよね。
ChatGPTやClaudeみたいな一般向けの生成AIは、だいたい13歳以上が対象です。なので学校で使うとなると、教育機関向けに作られたサービスの中から選ぶことになります。
実際に調べてみると、日本の小学校では、Gemini for Education・スクールAI・スタディポケットの3サービスが比較的多く導入されていることが分かりました。
そして先に結論を言うと、この3つの中で一番いいと思ったのはGemini for Educationです。
ちなみに僕は、札幌を拠点に活動するAIエンジニアです。これまでAIの活用や検証に5,000時間以上取り組んできました(プロフィール詳細はこちら)。
今回はその経験も踏まえながら、公式サイトや利用規約を実際に読み込んだ上で比較しています。
※情報は2026年8月21日時点の公式情報に基づきます。
Gemini for Education
Gemini for Education 公式サイト(edu.google.com)のトップページ
まずは、Gemini for Educationから見ていきます。
Gemini for Educationは、Googleの生成AI「Gemini」を、学校教育向けに提供しているサービスです。
低学年でも使える?
使えます。
Google公式では、Google Workspace for Educationの各プラン(Education Fundamentals・Standard・Plus)に含まれるGeminiアプリについて、すべての年齢層が利用対象と案内されています。
評価ポイント
僕がGemini for Educationを選んだ理由はこの3つです。
- 学校向けのGoogleのクラウドサービス「Google Workspace for Education」を使っている学校なら、追加費用なしで使える。しかも、小学1年生を含む全年齢が利用対象と公式に案内されている
- 学校側の設定だけで導入でき、先生や学校にとって導入の手間が少ない
- 「Gemini アプリでのチャットの内容やアップロードされたファイルが人間のレビュアーによって確認されたり、生成 AI モデルの改良に使用されたりすることはありません」と、児童の入力内容がAIの学習に使われないことがGoogle公式にはっきり明記されている
具体的にできること
Gemini for Educationはこんなことができます。
- 児童: わからないことの質問、クイズの作成、復習内容の整理
- 先生: 授業アイデアの相談、教材や問題のたたき台作り、保護者向け文章のたたき台作り
- 学校側: Workspaceの管理画面から、学年やグループ単位で利用範囲をまとめて設定(「1〜3年生は使わない」といった運用も可能)
すでにGoogle Workspaceを使っている学校なら、新しいサービスを一から覚えるというより「普段使っているGoogleの環境にGeminiが加わる」感覚に近いです。
さらにGoogle Classroomと連携しているので、教材や課題を作る普段の授業準備の流れに、そのまま組み込めます。
また、Drive・ドキュメント・スライド・Gmailとも組み合わせて使えます。例えば、Driveに保存した授業資料を参照しながらGeminiに質問したり、ドキュメントで文章の下書きを一緒に作ったり、保護者向けのお便りの文面をGmail上でGeminiに手伝ってもらったりできます。
特に札幌市では、Google for Educationが選定され、市内約300校の小・中学校でChromebookやGoogle Workspaceが活用されています。こうした学校では、Geminiとの相性の良さがそのまま生きてきます。
料金
Gemini for Education
料金: Google Workspace for Educationの全エディションに無料で含まれる
Google AI Pro for Education(より高度なAI機能を使いたい場合の有料アドオン)
1年契約: ユーザー1人あたり月額2,260円
月払い: ユーザー1人あたり月額2,712円
引用元: Google for Education - Gemini for Education
注意点
一方で、導入前に知っておきたい点もあります。
- モデルや機能ごとに1日に使える回数の上限があり、無料版では高性能な「Proモデル」が4時間あたり最大25件、じっくり考えて答える「思考モード」が1日あたり最大300件までとなっている
- AIの回答が常に正しいとは限らないため、内容は必ず確認したうえで使う
先生の負担の少なさ・データの扱い・管理のしやすさ・料金のバランスも含めて、Gemini for Educationを一番に選びました。
スクールAI
スクールAI 公式サイト(school-ai.mingaku.net)のトップページ
続いて、株式会社みんがくが提供している「スクールAI」です。
スクールAIは、学校での利用に特化して作られた生成AIサービスです。教員が用意した200以上のテンプレートを使って、児童がAIと対話しながら学べます。
低学年でも使える?
使えます。公式サイトの比較表には、年齢制限について「制限なし」と明記されています。
引用元: スクールAI「メリットと特徴」
評価ポイント
スクールAIが評価できるのはこの2つです。
- 2026年4月時点で導入校1,600校以上・利用ID数160,000ID以上と公式に公表されており、実名の小学校事例も複数公開されている
- 「利用されたデータがAIの再学習に使われたり、外部に保存・共有されることはありません。」と、公式サイトにデータの扱いが明記されている
引用元: スクールAI「動作確認環境・生成AIの安全性について」
ただし、実際の導入事例は特に中高学年での活用が多く紹介されている印象です。
具体的にできること
スクールAIはこんなことができます。
- 児童: 作文のアドバイスをくれるAI、歴史上の人物と対話できるAI、英会話の練習用AIなど多数
- 先生: 授業内容に合わせて、AIアプリを一から作ったり、既存のアプリをカスタマイズしたりできる
- 学校側: 児童がAIを使った履歴を確認できる。「どんな質問をしているか」を把握しながら運用できる
先生が、児童のためのAIアプリを比較的簡単に作れるのが、スクールAIらしいところです。
ただし、AIにどう問い返させるか、どんな口調で話すかといった設定を一つひとつ決めたり、公開前に何度も動作確認したりする必要がある分、先生の手間は増えます。
料金
スクールAI
料金: 要問い合わせ
無料トライアル: あり
引用元: スクールAI無料体験ページ
注意点
一方で、導入前に知っておきたい点もあります。
- 授業専用のAIを細かく作り込む場合、先生側に設定・設計の手間がかかる
- できることが多いため、最初に「授業でどう使うか」を考える必要がある
- 料金が公開されていないため、導入前に見積もりが必要
- AIの回答が常に正しいとは限らないため、内容は必ず確認したうえで使う
導入事例の豊富さ・データの扱い・授業設計の自由度も含めて、スクールAIは「この授業ではAIに何をさせるのか」まで先生側で設計したい学校に、かなり相性がよさそうです。
スタディポケット
スタディポケット 公式サイト(studypocket.ai)のトップページ
最後は、スタディポケットです。
スタディポケットは、学校向けに作られた生成AIサービスです。
先生向けの「for TEACHER」と、児童生徒向けの「for STUDENT」の2つが用意されています。児童向けと先生向けで使い方が分かれていて、学校現場で使いやすい形に整理されています。
低学年でも使える?
使えます。「スタディポケットの利用規約に基づき、教育機関の適切な指導のもと、小学校1年生からご利用可能です」と明記されています。
引用元: ミカサ商事「スタディポケット」
評価ポイント
スタディポケットが評価できるのはこの3つです。
- 低学年向けの「フレンドリービュー」: ふりがな・大きな文字・吹き出し表示など、小学校低学年を意識したUI設計
- 生成AIチャット以外の学習機能も充実: AI英会話・ディクテーション・AIタイピングなど、「AIに質問する」だけでなく具体的な学習活動そのものがサービス化されている
- 先生向け機能を無料で提供: 2026年度以降、学校教育機関向けの「for TEACHER」はライセンス利用料が無償。AIスライドや画像生成などの教員向け機能も含まれており、先生側から導入を始めやすい
引用元: スタディポケット「フレンドリービュー」 / スタディポケット「for TEACHERライセンス利用料の永年無償化」
具体的にできること
スタディポケットはこんなことができます。
- 児童(for STUDENT): 分からないことをAIに質問する、AI相手に英会話を練習する、お題を使ってタイピングを練習する
- 先生(for TEACHER): 授業内容に合わせた教材・小テストのたたき台作り、保護者向け文章の作成、授業資料の構成づくり。学校業務向けのテンプレートも用意されている
- 学校側: 児童の利用状況や学習履歴を先生側から確認できる
低学年では、まだ習っていない漢字も多く、AIの回答を見ても「これ、なんて読むんだろう?」と止まってしまうことがあります。スタディポケットのフレンドリービューでは、漢字にふりがなが付くため、低学年でも読みやすいように工夫されています。
料金
スタディポケット for TEACHER
料金: 学校教育機関向けは無料
スタディポケット for STUDENT
料金: 要問い合わせ
注意点
一方で、導入前に知っておきたい点もあります。
- 児童向けサービスの料金は問い合わせが必要
- 学習機能が複数あるため、学校側でどの機能を使うか整理する必要がある
- AIの回答が常に正しいとは限らないため、内容は必ず確認したうえで使う
低学年向けの画面設計・データの扱い・先生の始めやすさも含めて、スタディポケットは「児童がちゃんと読めるか」「迷わず操作できるか」まで考えたい学校に、かなり向いていそうです。
3つのサービスを比較
文章だけだと分かりにくいので、表にまとめました。
| 比較項目 | Gemini for Education | スクールAI | スタディポケット |
|---|---|---|---|
| 無料で導入しやすい | ◎ | △ | △ |
| 教員の手間 | ◎ | △ | ○ |
| セキュリティ | ○ | ○ | ○ |
| 低学年から利用 | ○ | ○ | ○ |
| 小学校での導入事例の多さ | ○ | ◎ | ○ |
◎特に優れている / ○問題なく対応 / △やや弱い(詳しくは各サービスのセクションを参照)
まとめ
今回は、Gemini for Education、スクールAI、スタディポケットの3つのサービスを比較してみました。
3つのサービスの強み
それぞれ、強みはかなり違います。
- Gemini for Education
Google Workspaceとの相性がよく、学校側で管理しやすい。料金面でも始めやすい - スクールAI
授業に合わせて、先生がAIの役割を細かく設計できる - スタディポケット
低学年でも使いやすい画面や、学校向けの学習機能が充実している
どれか一つが圧倒的に優れているというより、学校が何を重視するかで選び方は変わると思います。
結論
繰り返しになりますが、僕が今回一番いいと思ったのは、やはりGemini for Educationです。理由は、AIそのものの性能だけではありません。
特にGoogle Workspaceをすでに使っている学校であれば、先生が新しいサービスを一から覚える負担を抑えながら導入でき、学校側での管理もしやすいのが大きいところです。データの扱いや料金まで含めて考えても、全体のバランスがかなりいいと感じました。
「高性能なAIを選ぶ」というより、「学校で無理なく使い続けられるAIを選ぶ」と考えると、Gemini for Educationが一番導入しやすい。これが、今回3つのサービスを調べてみた僕の結論です。
共通の注意点
とはいえ、どのサービスを選ぶ場合でも共通して大事にしたいことがあります。
- AIの回答をそのまま正解として扱わない。生成AIである以上、誤情報や不自然な回答が出る可能性がある(参考: AIで業務を自動化するとき最初に考えるべき5つのこと)
- 教員が内容を事前・事後に確認したうえで授業に使う
- 児童の氏名・学校名・住所・顔写真・成績・学習履歴など、個人が特定できる情報は入力させない
- 学校・自治体が独自に定めるAI利用ルールやセキュリティポリシーに従う
- 児童だけに任せきりにせず、発達段階に合わせて教員が関与する
一般向けの生成AIをそのまま小学生に使わせるのではなく、教育機関向けに安全性・管理機能が整えられたサービスを、学校としてきちんと選ぶこと。それが、今回3つのサービスを比較して一番はっきりした結論です。
確認した主な公式情報
- Google for Education - Gemini for Education
- Google「仕事用または学校用の Google アカウントで Gemini アプリを利用する - 教育」
- スクールAI「メリットと特徴」
- スクールAI「動作確認環境・生成AIの安全性について」
- スクールAI無料体験ページ
- ミカサ商事「スタディポケット」
- スタディポケット 利用規約
- スタディポケット「フレンドリービュー」
- スタディポケット「for TEACHERライセンス利用料の永年無償化」
情報は2026年8月21日時点のものです。各サービスの規約・仕様は変更される可能性があるため、実際の導入検討時は必ず最新の公式情報を確認してください。


