個人開発のマーケティング|最初の10人を集める方法

2026.09.27

個人開発したアプリを公開したのに、誰にも使われない。

これ、機能が足りないからとは限りません。

単純に、必要としている人がアプリの存在を知らないだけかもしれません。

個人開発のマーケティングで最初にやることは、大勢へ広告を出すことではなく、困りごとを持つ人を探して、自分からアプリを届けることです。

この記事では、最初の10人に使ってもらうまでを8つの手順に分けました。上から順に進めれば、紹介ページを作るところから、SNS投稿、個別連絡、初回利用後の改善まで一通り実行できます。

ここでいう「1人」は、登録フォームを送っただけの人ではありません。アプリの中心機能を一度使い終えた人を1人と数えます。

家計簿アプリなら、最初の支出を登録した人。画像編集アプリなら、画像を1枚書き出した人です。登録者10人より、価値を体験した10人を目指します。

個人開発のマーケティングは「最初の10人に自分から届ける」ことから始める

個人開発では、最初から何千人ものアクセスを集める必要はありません。

まず必要なのは、実際に使ってくれる人と話し、「このアプリは誰の何を解決できるのか」を確かめることです。

Y Combinatorも、初期のスタートアップには、すぐに公開して利用者と話し、規模を拡大しにくい手作業でも最初の顧客を獲得するよう勧めています(Y Combinator公式)。

個人開発にも、その考え方はそのまま使えます。

最初の集客に広告を使わないほうがいい理由

広告を使えば、紹介ページへのアクセスは増やせます。

ただ、誰に何を伝えれば登録されるのか分からない状態で広告を出しても、反応がない理由を切り分けられません。

対象者が違うのか。投稿の言葉が悪いのか。紹介ページで魅力が伝わっていないのか。登録後の操作で止まっているのか。

最初の10人では、広告費を使って数字を増やすより、1人ずつ届けて反応を見る方が原因を見つけやすいです。

広告が悪いわけではありません。誰が登録し、どこまで使い、いくらまでなら獲得費用をかけられるかが分かってから使うと、初めて判断材料になります。

10人に使ってもらうまでの8ステップの全体像

進める順番は、次のとおりです。

  1. 誰のどんな困りごとを解決するか決める
  2. 紹介ページ・登録フォーム・記録表を作る
  3. ショート動画を3本投稿する
  4. Xで7日間発信する
  5. 関連コミュニティで信頼を作ってから紹介する
  6. 条件に合う人へ1日5通ずつ個別に連絡する
  7. 初回利用の直後に話を聞く
  8. 集客の止まっている場所を1か所だけ直す

SNSを一度投稿して終わりではありません。「見つける→届ける→使ってもらう→聞く→直す」を小さく一周させます。

手順1:誰のどんな困りごとを解決するかを1文で決める

最初に決めるのは、年齢や性別だけの大きなターゲットではありません。

アプリが必要になる場面まで絞ります。

例えば「フリーランス向け経費管理アプリ」だけでは、まだ広すぎます。

「確定申告の前に、レシート整理が終わっていないフリーランス向け」まで絞ると、どこで誰に声をかけるかが見えやすくなります。

「〇〇な人が、△△するときの□□を解決する」の型に当てはめる

次の一文を埋めてみてください。

このアプリは、〇〇な人が、△△するときに困っている□□を解決する。

例えば、こうです。

このアプリは、個人で仕事をしている人が、確定申告の準備をするときに困っているレシート整理を解決する。

ここでは格好いいコピーを作る必要はありません。誰に話しかければよいか分かる文章になっていれば十分です。

当てはまる知り合いを3人思い浮かべられなければ、対象を狭める

一文ができたら、その条件に当てはまる人を3人思い浮かべてみます。

誰も浮かばない場合は、対象が広すぎるか、自分から接点を作りにくい市場を選んでいる可能性があります。

「忙しい人」のような曖昧な言葉を、「毎月末に請求書を10件以上作るフリーランス」のように、行動が見える言葉へ置き換えます。

3人思い浮かべられたら、その人たちが使っているSNSや所属しているコミュニティも横に書いておきます。手順3以降の集客先になります。

手順2:集客の受け皿になる紹介ページと登録フォームを1日で作る

次に、SNSやDMから来た人がアプリを理解し、使い始められるページを用意します。

最初から立派な公式サイトを作る必要はありません。紹介ページの制作に何日もかけると、ユーザーへ届ける前に止まってしまいます。

まだ招待制なら、NotionとGoogleフォームで十分です。すでに誰でも使えるアプリなら、Googleフォームではなく、アプリの登録画面へ直接案内します。

Notionで1ページ作り、「誰向けか・何ができるか・登録ボタン」の3つだけを書く

Notionで新しいページを作り、上から次の3つを置きます。

  1. 誰向けか:「毎月のレシート整理に追われているフリーランスへ」
  2. 何ができるか:「レシート画像から日付・金額・店名をまとめます」
  3. 登録ボタン:「無料で試す」「β版に参加する」

利用前に知っておく必要がある料金や対応端末があれば、その下へ短く追記します。

Notionは、ページ上部の「共有」から「Web公開」を選ぶとサイトとして公開できます(Notion公式ヘルプ)。ただし、サブページも公開対象になる場合があるため、仕事用の既存ページを流用せず、紹介専用の新しいページを作る方が安全です。

Googleフォームで、メールアドレスと「今いちばん困っていること」の2つだけを聞く

フォームの質問を増やすほど、答える側の負担も増えます。

最初は次の2項目だけで始めます。

  • 連絡用のメールアドレス
  • 今、その作業でいちばん困っていること

名前や会社名、電話番号が本当に必要になったら後から聞けばよいです。

Googleフォームは、フォームを公開して回答を集め、回答内容をGoogleスプレッドシートへ保存できます(Googleフォーム公式ヘルプ)。

記録用のスプレッドシートに「名前・接点・DM送信日・利用日・感想」の列を作る

フォームの回答先とは別に、集客の進捗を管理するシートを1枚作ります。

列は次の7つで十分です。

  • 名前またはアカウント名
  • 見つけた場所
  • 困っていそうな内容
  • DMを送った日
  • 返信の有無
  • 初回利用日
  • 感想と次に直すこと

Googleフォームの回答は、回答画面から新しいスプレッドシートまたは既存のスプレッドシートへ保存できます(Google公式ヘルプ)。

ただし、SNSで見つけただけの人を無差別に大量登録するのは避けます。手順1で決めた困りごとに本当に当てはまる人だけを候補にします。

手順3:ショート動画で集客する(YouTube Shorts・TikTok・Instagram Reelsで試す)

アプリは、文章で説明するより、操作している画面を見せた方が伝わりやすいことがあります。

特に、入力前と入力後の変化が目に見えるアプリはショート動画と相性があります。

ただし、すべての個人開発に必要な施策ではありません。企業向けの専門ツールなど、対象者がショート動画を見ていない場合は、手順5と6を先に進めます。

最初の2秒に、困っている場面と困りごとの一言を入れる

動画の最初にはロゴではなく、困っている場面を置きます。

例えば、レシート整理アプリなら、机にたまったレシートを映して「これ、まだ手入力していますか?」と表示します。

「2秒」は絶対的な正解ではありません。ただ、TikTok公式も冒頭の数秒で注意を引き、身近な問題から解決へつなげる構成を勧めています(TikTok for Business公式ガイド)。

残りの13秒で解決後の画面を見せ、プロフィールのURLに案内する

動画の基本形は、次の3場面です。

  1. 困っている場面
  2. アプリを使っている画面
  3. 解決後の状態と「プロフィールから試せます」の案内

1本の動画に全機能を詰め込みません。1本につき、解決する困りごとは1つだけにします。

1週間で3本投稿し、プロフィール移動ではなく利用完了まで比べる

まず、冒頭の言葉を変えた動画を3本作ります。

元の画面収録は共通で構いませんが、字幕・説明文・音源・最後の案内は各サービスに合わせます。完全に同じ投稿を機械的に流すより、各サービスで自然に見える形へ調整します。

確認する数字は、再生回数だけではありません。

  • 動画が表示された回数
  • 動画を見続けた人の割合
  • プロフィールやリンクへ移動した人数
  • 登録した人数
  • アプリの中心機能を使い終えた人数

YouTube Shortsでは、単なる再生回数とは別に、視聴を続けた回数である「エンゲージビュー」などを確認できます(YouTube公式ヘルプ)。

3本は、勝ちパターンを断定するための数ではありません。次の3本で何を変えるかを決めるための最初のテストです。

手順4:Xで7日間、1日1回「解決できる悩み・画面・URL」を投稿する

Xでは、毎日違う機能を紹介するのではなく、同じ困りごとを7つの角度から伝えます。

例えば、次の順番です。

  1. 困りごとのあるある
  2. 作ろうと思った理由
  3. 操作画面の動画
  4. 使う前と使った後の違い
  5. 開発中に迷った点
  6. β版で直した点
  7. 試してくれる人の募集

1文目に、手順1で決めた困りごとを書く

投稿の1文目を「アプリを作りました」にしないことが大切です。

読者が自分の話だと分かる言葉から始めます。

毎月末、レシートを見ながら金額と日付を入力していませんか?

その次に、アプリを使うとどう変わるのかを画面付きで見せ、最後に利用URLを置きます。

返信・引用投稿をくれた人を記録し、いいねだけの人にはすぐDMしない

返信や引用投稿で自分の困りごとを話してくれた人は、手順1の対象に合う可能性があります。スプレッドシートへ記録し、会話を続けます。

一方で、いいねは必ずしも「使いたい」という意思表示ではありません。いいねした全員へDMを送ると、売り込みに見えやすくなります。

プロフィールや過去の投稿から困りごとが確認でき、会話のきっかけがある人だけを個別連絡の候補にします。

手順5:ターゲットのいるDiscord・Slack・Facebookグループで、質問に答えてから紹介する

コミュニティには、すでに同じ課題を抱えている人が集まっていることがあります。

ただし、参加直後にURLを貼ると宣伝目的だと思われます。コミュニティごとに、自己紹介・宣伝・リンク投稿のルールを先に読みます。

Discordでも、各サーバーの管理者やモデレーターが独自のルールを設定できます。また、無差別な一括メッセージは禁止されています(Discord公式ガイドライン)。

「〇〇 Discord」などで検索し、直近7日以内に投稿があるコミュニティを3つ選ぶ

手順1で決めた対象者や困りごとに「Discord」「Slack」「Facebookグループ」を足して検索します。

参加候補では、次の3点を確認します。

  • 直近7日以内にも会話がある
  • 対象者本人が参加している
  • 宣伝またはβ版募集が禁止されていない

3つ全部へ同じ文章を投稿する必要はありません。実際の会話を読んで、困りごとが見つかった場所から始めます。

紹介の前に、他の人の質問に3回回答する

「3回」は信頼を獲得できる魔法の数字ではありません。

少なくとも、参加してすぐ宣伝だけして帰る状態を避けるための目安です。

答えられる質問がなければ、無理に書き込みません。会話を読んで、アプリが本当に役立つ場所かを見極めます。

「試してくれる人を探しています」と協力をお願いする形で紹介する

紹介文には、次の4つを書きます。

  • 誰のどんな困りごとを解決したいか
  • 現時点でできること
  • β版であること
  • 何を協力してほしいか

完成品の広告として売り込むより、「10分試して、迷った場所を教えてほしい」と具体的に頼む方が、相手も判断しやすくなります。

手順6:条件に合う人へ1日5通ずつ、合計30通のDMを送る

SNS投稿は、表示されるまで待つ集客です。

最初の10人を集める段階では、待つだけでなく、自分から声をかけます。

候補にするのは、手順1で決めた困りごとについて実際に投稿している人や、コミュニティで同じ悩みを話している人です。

「無料で試して、10分だけ感想を聞かせてほしい」の1点に絞る

DMの例は、次のようになります。

レシート整理が大変という投稿を見てご連絡しました。いま、レシート画像から金額と日付をまとめるアプリを個人で作っています。無料で試して、10分だけ使いにくかったところを教えていただけないでしょうか。興味があればURLをお送りします。

相手の投稿に触れず、同じ文章を30人へ送るのは避けます。

1日5通という数字は、送信上限を狙うものではありません。誰に送ったかを把握し、返信が来たらきちんと会話できる量に抑えるための目安です。

相手が了承してから、URL・最初にやる操作・感想を聞く日時を1通にまとめる

最初のDMでいきなりURLを送るより、興味があるか確認してから案内します。

了承が得られたら、次の3点を1通にまとめます。

  • 利用URL
  • 最初に試してほしい操作
  • 10分話せる日時の候補

案内が何通にも分かれると、その途中で止まりやすくなります。

手順7:初回利用の直後に、3つの質問で感想を集める

感想は、できれば使い終わった直後に聞きます。

数日たつと、どの言葉や画面で迷ったかを忘れてしまうからです。

画面共有ができるなら、説明せずに使ってもらい、手が止まった場所を記録します。難しければ、Googleフォームで回答してもらいます。

何を解決したくて使ったか

開発者が想定した用途と、利用者が期待した用途が同じかを確認します。

答えが大きく違う場合は、機能を増やす前に、対象者や紹介ページの言葉を見直します。

どこで迷ったか

「使いやすかったですか?」ではなく、具体的に止まった場所を聞きます。

登録、初期設定、データ入力、結果の確認など、どの段階で迷ったかをスプレッドシートへ残します。

来週もう一度使う場面があるか

初回利用直後に「知り合いへ勧めたいか」と聞いても、まだ判断できない人が多いはずです。

まずは「来週もう一度使う場面がありますか」と聞きます。もう一度使って実際に役立った人がいたら、その時点で同じ困りごとを持つ知り合いを紹介してもらえないか頼みます。

手順8:10人に届かないときは、集客のどこで止まっているかを見て1か所だけ直す

10人に届かないとき、アプリ全体を作り直す必要はありません。

スプレッドシートの記録を見て、どこで人数が減っているかを確認します。

投稿が見られていない → 動画の最初の2秒と投稿の1文目を直す

表示自体が少ない場合は、投稿する時間だけでなく、対象者がそのSNSにいるかを見直します。

表示されてもすぐ離脱されるなら、最初の言葉と映像を変えます。アプリ名より先に、困りごとを出します。

見られているのに紹介ページに来ない → URLの案内と解決後の見せ方を直す

投稿は見られているのにリンクが押されない場合、何が手に入るのか、次に何をすればよいのかが伝わっていない可能性があります。

動画や投稿の最後に、解決後の状態と「無料で試す」のような具体的な行動を示します。

紹介ページに来ても登録されない → 誰向けか・できること・登録ボタンを直す

紹介ページへのアクセスはあるのに登録されない場合は、ページの3要素を見直します。

対象者が自分のことだと思えるか。何ができるかを一読で理解できるか。登録ボタンが見つけやすいか。この順番で確認します。

登録されても使われない → DMではなく初回操作を直す

登録後に使われない場合、案内文だけが原因とは限りません。

登録後の最初の画面で、何をすればよいか分かるか。入力項目が多すぎないか。価値を体験するまでに何画面も移動していないかを確認します。

ここで初めて、登録者ではなく「中心機能を使い終えた人」を数える意味が出てきます。

個人開発のマーケティング・集客でよくある質問

個人開発のマーケティングはリリース前から始めるべき?

はい。完成前でも始められます。

手順1の一文を作り、対象者へ困りごとを聞くだけでもマーケティングです。紹介ページとフォームを公開して、β版の協力者を募集することもできます。

ただし、使えない状態のアプリを完成品のように宣伝しないことは大切です。開発中・β版・招待制など、現在の状態をはっきり書きます。

フォロワー0人でも集客できる?

できます。

フォロワーがいなくても、検索で見つけたコミュニティへ参加したり、困りごとについて投稿している人へ個別に連絡したりできます。

むしろ最初の10人では、フォロワー数を増やすことより、条件に合う30人を探して丁寧に声をかける方が直接的です。

広告はいつから使えばいい?

少なくとも、誰が登録し、どこまで使えば価値を感じるのかを説明できるようになってからです。

紹介ページを訪れた人の何人が登録し、そのうち何人が中心機能を使うかを測れる状態にします。その数字が分からないまま広告を出すと、アクセスが増えても改善につながりません。

10人集まったら次に何をすればいい?

10人のうち、もう一度使った人が何人いるかを確認します。

継続して使う人がいるなら、その人たちが見つかった集客経路を優先します。ショート動画から来たのか、Xなのか、コミュニティなのか、個別DMなのか。最も反応のよかった1つに時間を寄せます。

一度使われても誰も戻ってこない場合は、集客を増やす前に、アプリが解決する問題や初回体験を見直します。

個人開発のマーケティングは、派手なローンチイベントだけではありません。

誰の困りごとを解決するか決め、必要としていそうな人へ自分から届け、実際に使うところを見て直す。その小さな繰り返しが、最初の10人を集めるいちばん現実的な道です。

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